テーセツの温泉、ユケムリ
あらすじ
エダフォス大陸における七つの国の一つ、テーセツ。小さな島国であるそこには、他の国にはない独自の文化があった。それは、温泉。身体にいい天然の風呂だという。
その温泉に興味を持ったエイツたちは、テーセツの王女であるワカバに招待され、テーセツでも屈指の温泉街である『ユケムリ』に来ていた。
ユケムリの仲居、ユヅキから説明を受け、しばらく温泉を楽しむエイツたち。その中で、かつての知り合いとの再会、さらには新たな出会いもあった。
だが、ユヅキの様子がどうもおかしい。初めて会ったときはおどおどした態度を取っていたのに、次に会ったときからはやたらと強気で大胆な言動を取るようになっていたのだ。
今までの経験から、このユヅキが鏡界からやってきたもう一人のユヅキと入れ替わったのではないかと推測するエイツたち。彼女から事情を聞くため、その行方を同じく探るイサベルの後を追う。
しかし、追いかけた先で思いもよらない話を聞いてしまう。なんと、温泉が数日前からほとんど涸れており、少ししか出ない温泉にただのお湯を混ぜて流していたのだ。さらには、お湯が突然緑色になって身体がピリピリする客まで現れてしまった。
なぜこのようなことが起こってしまったのだろうか――?
目次
登場人物
・ユヅキ(鏡界)・・・鏡界からやってきたもう一人のユヅキ。ユケムリのため、高熱を出して寝込むユヅキ(原界)の代わりに温泉の問題を解決するべく奔走する。
・シューファン・・・クォンツィの図書館で働く司書。自身が好きな作家が書いた著作『川蝉の夕暮れ』の舞台となったユケムリに前々から興味を抱いており、ようやく今回来ることができた。
・ユヅキ・・・ユケムリの宿、川蝉亭の仲居。自分と見た目がそっくりな人物を見たせいなのか、高熱を出して寝込んでしまった。
・イサベル・・・リーニャの真面目なシスター。温泉が大好きなため、ユケムリにやってきた。それだけではなく、温泉の効能が遠くの地に住まう股関節の痛みに悩む人々のために温泉の成分を調べて研究しにも来ていた。
・マルヤム・・・ジャハラの踊り子。天満橋の近くで行われるショーに招待され、テーセツらしい優雅さとジャハラらしい情熱を組み合わせた踊りを披露した。
・ワカバ・・・テーセツの第六王女。エイツたちをユケムリという温泉街に招待し、川蝉亭という宿を予約する。ただ王女なので、実際に予約したのは配下。
・エイツ・・・本作の主人公。特に語ることはない。
・ソフィア・・・エイツの幼馴染兼護衛。一応エイツと一緒に温泉街に来たのだが、ほとんど騒動に絡むことはなかった。
・イサベル(鏡界)・・・鏡界からやってきたもう一人のイサベル。登場はしないが、リーニャの教会を訪れてイサベル(原界)と会っていたことが判明する。
ストーリー
▼ネタバレ注意
温泉に汚染疑惑まで起き、エイツたちはますます原因を調べる必要があると考え、ユヅキ(鏡界)に話を聞きに行くことに。だが、客のクレーム対応をしていたのは、こっちの世界のユヅキであった。
彼女から鏡界からやってきたもう一人の自分と入れ替わっていた理由、そして温泉の源泉の居場所を聞き出し、すでにそこへ向かっていたユヅキ(鏡界)の後を追う。彼女と合流し、ともに源泉へと到着した。
源泉には驚きの光景が広がっていた。なんと、伝説の不死鳥が温泉に浸かっていたのだ! そして、負傷した身体から流れ出た血がパイプにこびりつき、それが原因で湯が流れなくなったりお湯が緑色になっていたと判明する。
全員でかかればケガしている不死鳥を倒すこともできるが、それはせずに平和的な解決を試みる。マルヤムの怒りを鎮めるという踊りの甲斐もあって、不死鳥を温泉からどかすことに成功。パイプを掃除し、問題を解決することができた。
こうしてユケムリの温泉は元の姿を取り戻した。気持ちを切り替え、改めて温泉をみんなで楽しもうと語る彼女たちに同調するエイツだったが、残念なことに彼だけは男であった。ハンペンを連れてくるべきだったなぁと、エイツは少しばかり後悔するのだった――。
個人的な印象
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