絶望の死地へ
*注意! 最新ストーリーのネタバレを含みます!
前回までのあらすじ
悪魔の脅威に対抗すべく、七煌の一人エラストスの協力を仰ぐため、テーセツの地下迷宮を探索していたエイツたち。
そんな中、テーセツに悪魔たちが攻め込んできたという報を受け、急いで迷宮から脱出。テーセツ軍の救援へと向かう。
しかし、状況は極めて優勢であった。高い実力を持つ熾天聖四人に加え、完成させた聖化武装を身に纏った天啓のエンフォーサー、さらには七煌をも超える実力を誇る”三聖”の一人、ミーティアまでもが戦線に加わっていたからだ。
唯一の懸念点であったサンドラ(鏡界)の説得にも成功し、一同は一息つく。あとは悪魔の残党を打ち滅ぼすだけであり、これだけの戦力があれば何の問題もなく片付くだろう。
だが、そのとき突然周囲の景色が変わる。戸惑っていると、一人の男が姿を現す。その男は、七大悪魔の央にして最強の悪魔、ルシフェルであった。そう、エイツたちは鏡界へと飛ばされていたのだ。
七大悪魔は、鏡界であれば完全なる力を発揮することができる。その実力は七煌と同等であり、熾天聖や聖化武装を装備したメンバーは、万全とは程遠い力しか発揮できない七煌にすら遠く及ばない。そして、元の世界(原界)に帰る手段はなく、逃げることもできない。
さらに、テーセツ軍は主戦力を失ったまま、まだまだ残存している悪魔たちを倒さなければならない。
まさに、絶体絶命。全く光明を見出せない絶望的な状況であった。
一方、ヒュームでもまた、絶望的な状況が訪れていた。ジェネラスの宰相ヴァディムの指示の下、ベルゼブブの分体を引き連れたジェネラス軍がヒュームに攻め込んでいたのだ。ヒュームの軍勢も必死に抵抗するが、首都陥落ももはや時間の問題だ。
圧倒的な劣勢の中、ついにあの”七煌たち”が立ち上がる――!
目次
登場人物
抗う者たち
鏡界に飛ばされた者たち
・エイツ・・・本作の主人公。今回は、大きな決断を下すことになる。
・ソフィア・・・エイツの幼馴染兼護衛。圧倒的な絶望の前でも、全く威勢を崩さない芯の強さを見せる。
・サンドラ・・・ジェネラスの淑女。自分の力が全く通用しない七大悪魔の強さに絶望した。
・ロセット・・・ペイシェの魔法使い。果敢に魔法を放つが、七大悪魔には全く通用しなかった。
・ヴァネッサ・・・天啓のエンフォーサーのリーダー。聖化武装を身に纏い大幅なパワーアップを果たすが、七大悪魔には遠く及ばなかった。
・ソフィア(鏡界)・・・鏡界からやってきたもう一人のソフィア。悪魔のくびきの影響により戦闘に加わることができなかったが、それでも気丈に振舞った。
・ヴァネッサ(鏡界)・・・鏡界からやってきたもう一人のヴァネッサ。サンドラ(鏡界)のためにもと戦うが、鞭による攻撃はあっさりと止められてしまう。
・ハンペン・・・言語を解する魔物。飛ばされた先が鏡界だということに一早く気付いた。
・ミーティア・・・三聖の一人。七大悪魔の一人、カペルと一騎打ちする。
テーセツに残った者たち
・ショーグン・・・テーセツの国王。エイツたち主戦力が突如として消えたことに驚きつつ、悪魔たちに立ち向かう。
・サユカ・・・エイガ忍衆の一人。ショーグンの補佐に回る。
・マカロン、クレア・・・エイツたちの帰りを待つ者たち。彼らを信じ、城内には避難せずに宿で待ち続ける。
・ミル・・・移動城を操るマカロンの守護者。危機が迫るマカロンのため、覚悟を決めようとする。
・エラストス・・・テーセツの七煌。重たい腰をついに上げ、テーセツを守るべく奮戦する。
ヒュームで戦う者たち
・ジェイムス・・・ヒュームの国王。勢いの止まらないジェネラス軍に終始動揺する。
・カルラ・・・ヒューム近衛軍師団長。ジェイムスに悲惨な報告を続ける。
・キャロル、パトラ・・・ヒュームの市民。自分よりも他人を助けることを優先する。
・アイトリア・・・ヒュームの七煌にして、その央。第一部にてエイツたちに敗れ、死んだはずだったが――?
その他
・プセマ・・・太陽神デクシアその人。想定を超えた事態に動揺しつつも、手を打ち続ける。
・ユラニア、キーラ、メリッサ、シャーロット、サンドラ(鏡界)、ザスビア(鏡界)・・・エイツたちと一緒にいたはずだが、アスタロトの手によって間引かれ、現在は行方不明。
・タラッサ・・・ペイシェの七煌。プセマの要請を受けたが、別件により参加できなかった。
・レア・・・マカロンの双子の姉。第一部にて世界を救ったが、アリステラによって囚われどこかへと幽閉されている。
攻め入る者たち
七大悪魔
・ルシフェル・・・七大悪魔の一人にして、その央。冷静沈着だが、やはり悪魔らしく残忍にエイツたちを攻め立てる。
・マモン・・・七大悪魔の一人。ルシフェルとともに、エイツたちを楽しそうになぶり続ける。
・カペル・・・七大悪魔の一人。力を完全に取り戻し、ミーティアとの一騎打ちに挑む。
・ベルゼブブ・・・七大悪魔の一人。今回は本体の力を存分に振るう。
・アスタロト・・・七大悪魔の一人。空間転移能力を使い、鏡界へエイツたちを誘い込んだ。
・アリステラ・・・月の女神。現在は表には出ず、休んでいる。
ジェネラス軍
・ヴァディム・・・ジェネラスの宰相。なぜかベルゼブブの分体を引き連れ、ヒュームを侵略する。
ストーリー
E:エイツサイド M:ミーティアサイド T:テーセツサイド H:ヒュームサイド
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E1 ルシフェルと会話を続けて時間を稼ごうとしたが、そこにマモンが現れ、戦闘が始まってしまう。その実力は圧倒的で、熾天聖や聖化武装ですら全く歯が立たず、かすり傷すら負わせることができない。七大悪魔にとってエイツたちとの戦いはもはや戦闘ではなく、単なる戯れに過ぎなかった。
M1 一方、ミーティアはカペルと対峙していたが、目の前の悪魔よりもこの場から脱出する方法を模索していた。しかし、ここが純粋な鏡界ではないため座標を把握できず、転移するためには転移先の情報を入手する必要があった。
もちろん無視される形となったカペルは面白くなかった。座標を知りたければ自分を倒してみろと、ミーティアを挑発する。その挑発を軽く受け流し、ミーティアはカペルと戦闘を開始した。
T1 エイツたち主戦力を失ったテーセツでは、不利な状況が続いていた。残っていたワカバたちは奮戦していたが、それも長くはもたない。
しかし、そこに救世主が現れる。デクシアの要請を受け、千年ぶりに地上に姿を現したテーセツの七煌エラストスが、天満橋に陣取って悪魔の軍勢を食い止めていたのだ。
とはいえ、まだまだ敵は多い。溜息をつきつつ、エラストスは神具の力を解放した。
M2 鏡界ならば全力を出せるはずのカペルだったが、それでも三聖であるミーティアには全く敵わなかった。地に倒れ伏せ、みっともなく命乞いをするカペルを無視し、彼女から座標を教わる。これで転移することができるようになった。
しかし、その直前、カペルが常につけている仮面に違和感を覚えたミーティアはそれを外す。その素顔は美しかったが、どこか既視感があった。
H1 場面変わってヒューム。ジェネラス軍に攻められているとはつゆ知らず、優雅に紅茶を嗜んでいたジェイムスだったが、カルラの報を受けて激しく動揺。ジェネラス軍は数々の砦を落とし続けており、あとたったの数時間で首都アイトリアに到達するという。
ジェイムスはカルラに、自分たちの底力を見せてとにかく食い止めよと命令するのだった。
E2 どれだけやっても七大悪魔には敵わない。絶望する中、飽きたと呟いたルシフェルはエイツに提案する。エイツさえ降伏しその身を引き渡せば、仲間の命は見逃してやると。そして、エイツが要求を拒否するたび、仲間を一人ずつ殺していき、まずはエイツの幼馴染であるソフィアをその対象とするとも。
もはや勝機などないとエイツにも分かっていた。となれば、もう迷うことはない。エイツは投降し、ルシフェルの提案に従おうとする。
だが、ソフィアはエイツを制止。自分のことは自分で決めると叫び、ルシフェルに凄まれてもその威勢は消えなかった。
狙いが外れたルシフェルは、今度はヴァネッサも殺す対象に加え、さらなる絶望を与えるべくベルゼブブを参戦させる。
本気で殺しに来た七大悪魔に抗う術はない。これで全ておしまいだとエイツは絶望したが――。
E3&M3 間一髪で、ミーティアが時空間転移によりその場に姿を現す。そして、すぐさま槍を振るい、エイツたちとともに別の空間へと脱出した。
だが、まだ助かったわけではない。移動した先はまだ鏡界であり、七大悪魔たちを時空間封印によってミーティアが足止めしてはいるが、それは一時しのぎにしかならないからだ。
まだまだ油断ならない状況の中、ふとエイツたちは気づく。ミーティアが飛んだ先は鏡界のペイシェであり、アルジェントタワーの近くであった。
これも運命かもしれないと語るミーティア。彼女によると、そのアルジェントタワーに、連れ去られたレアが捕らえられているというのだ。つまり、すぐそばにレアがいる。
その状況をソフィア(鏡界)が黙っていられるはずもなかった。危険だと分かっていながらも、今ここで絶対にレアを助けると宣言。ヴァネッサ(鏡界)もまた、そんな彼女とともにアルジェントタワーへ向かうことを決意する。
ミーティアは彼女たちの決断を尊重し、自身は七大悪魔たちを足止めするため、彼らのいた場所へと戻っていった。
E4 レアを救いに行こうとするソフィア(鏡界)たちのため、別れる前に彼女たちにエイツは力を与えようとし手を握る。すると、不思議なことが起こった。エイツ、ソフィア(鏡界)、ヴァネッサ(鏡界)の身体が光り始めたのだ。そして、光が収まると――。
まるで熾天聖のように、彼女たちの姿が変化した。新たな力を手にした彼女たちが飛び立つのを見送り、エイツたちはミーティアの術によってテーセツへと帰還することになった。
E5&T2 テーセツの天満橋に戻ってきたエイツたちは、一人戦っていたエラストスと合流する。依然悪魔は残っているが、対抗するには充分すぎた。
M4 先ほどいた場所まで戻ったミーティア。もちろんそこには、ルシフェル、マモン、ベルゼブブ、カペルと、七大悪魔が揃い踏みしていた。しかも、ミーティアは時空間封印の術を施したせいでかなりの力を消費してしまっている。当然、状況は著しく不利であった。
だが、ミーティアはそれを分かったうえで、この死地に赴いたのだ。彼女の顔は、覚悟に満ちていた。
M5 ミーティアと七大悪魔四人の戦いは、まさに死闘だった。ミーティアは全身から血を流し、一方の七大悪魔たちも、カペル、ベルゼブブ、マモンはかなりの深手を負っていた。ミーティアの戦いぶりに、ルシフェルは動揺を隠せない。
しかし、もはやここまで。ルシフェルは、マモンとカペルに押さえつけられたミーティアに剣を振るう。その剣は彼女の身体を切り裂き、心臓にまで到達。完全に致命傷であった。
だが、もう死がそこまで迫っているというのに、ミーティアは笑みを浮かべていた。この状況は彼女にとって狙い通りだったからだ。
ルシフェルは剣を握る手を動かすことができず、マモンとカペルはミーティアから離れることができない。彼女の狙いは、相打ちだったのだ。
全てを巻き込む大爆発が起きた――。
はずだった。しかし、なぜか何も起こらない。想定外の事態に驚きを隠せないミーティア。何かに感づいたと同時に、その大爆発が起きたのだった。
H2 次々と落とされるヒュームの砦。その報告を受け続けるジェイムスだったが、そこに朗報が届く。何者かがジェネラス軍の進撃を止めているという。
喜びを露わにするジェイムスとは対照的に、カルラは浮かない顔で報告する。なぜなら、その何者かとは――。
天啓の伝道者を騙り世界を操っていたヒュームの七煌、アイトリアだったからだ。死んだはずの彼女はデクシアによって救われ、彼の恩義に報いるためにヒュームを守っていたのだ。
圧倒的な力をもってベルゼブブの分体を倒し続けるアイトリアだったが、そこに唐突にルシフェルが現れる。ミーティアの爆発から逃れた彼は、ヒュームまで飛ばされていた。
ルシフェルを見たアイトリアは激しい怒りを抱き、彼を倒すべく戦闘を開始する。
E6&T3 エラストスの活躍もあり、だいぶ悪魔たちを掃討したエイツたち。だが、そこに七大悪魔の一人、カペルが現れる。ルシフェルと同じく爆発から逃れた彼女は、テーセツに飛ばされていたのだ。
H3 ルシフェルと戦うアイトリアだったが、力を完全に発揮できず全く相手になっていなかった。このままでは負けるのも時間の問題というところに、ジェネラスの七煌、キオーンが念話で声をかけてくる。そして――。
彼女から神具を受け取り、ついに七煌としての力が完全覚醒。それを見たルシフェルは不敵に笑い、全力をもって彼女を打ち倒そうとするのだった。
個人的な印象
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全力の七大悪魔との戦い、熾天聖のような姿に覚醒したソフィア(鏡界)とヴァネッサ(鏡界)、三聖であるミーティアの圧倒的な力、ついに姿を現したエラストス、死んだはずのアイトリアの復活。とにかくワクワクする部分がたくさんあった。一体どんな結末を迎えるのか楽しみ。
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