聖化武装、その新たなる可能性
あらすじ
シャーロットの蒸気自動車コメット号に乗り、エイツたちはテーセツへとやってきていた。
リーニャに滞在していた彼らは、テーセツ、ジャハラ、クォンツィが行う聖化武装を導入した三ヶ国合同訓練に参加するため、テーセツに来たのだ。
さらに、ヒュームのカルラ、ジェネラスのタチアナと、聖化武装の調整役としてミザリー、ついてきたその弟子のミネルヴァも今回の訓練に参加。三日間だけではあるが、みな本気で訓練に挑もうとしていた。
テーセツ、ジャハラ(ファルハーナ)、クォンツィ(ファンイー)は、熾天聖のサンドラ、ナディラを相手に地上で訓練を行い、兵の動かし方を学ぶ。
ワカバを含む他の聖化武装の着用者は地下迷宮に潜り、エラストスの指導のもと訓練に励む。
こうして、世界に平和を取り戻すための三ヶ国合同訓練が行われたのだった――。
目次
登場人物
地下組
聖化武装
・ワカバ・・・テーセツの第六王女。今回の合同訓練と首脳会談の仕切りを任される。訓練にも参加する。
・カルラ・・・元ヒューム近衛軍師団長。ヒュームを奪還するため、今回の訓練には一際真剣に臨む。
・タチアナ・・・元ジェネラスの上席諜報員。ヒュームを奪還しジェネラスを取り戻すべく、今回の訓練に参加。
・ミザリー・・・世界征服を企むポンコツ発明家。ミネルヴァの師匠。地下で訓練するメンバーの聖化武装の調整を担当。
・ミネルヴァ・・・純粋な強さを追い求める武道家。ミザリーの弟子。
教官
・エラストス・・・テーセツの七煌。ワカバの頼みを渋々ながら引き受け、地下迷宮にて訓練の相手役となる。コミュニケーションが苦手のため、姿を直接現さず、さらにはハンペンを自身の代弁者とした。
・ハンペン・・・言語を解する魔物。テーセツへと移動する際、サンドラの膝を堪能した。訓練ではエラストスに頼まれ、引っ込み思案な自分の代わりに話すように頼まれた。
同行者
・エイツ・・・本作の主人公。リーニャが対ジェネラス同盟に加入したことを記す書類を持ってきた。訓練では地下組に合流する。
地上組
聖化武装
・ファルハーナ・・・ジャハラの女王。兵の動かし方を学ぶ。聖化武装の新たな使い方を試し、かなり疲れていた。
・ファンイー・・・クォンツィの丞相。ファルハーナに戦術の手ほどきを行いつつ、自身も磨きをかけていく。聖化武装の力により、ますます予測の力が上がっている。
教官
・ナディラ・・・ジャハラの王女。熾天聖として、訓練相手を務める。
・サンドラ・・ジェネラスのお淑やかな少女。熾天聖として、ソフィアの代わりに訓練相手となる。
同行者
・シャーロット・・・天啓のエンフォーサーの一人にして、天才ポンコツ発明家。聖化武装の開発者として、地上で訓練する者たちの聖化武装の調整を担当する。
・ルルイ・・・ファンイーを慕うクォンツィの軍人。ファンイーの聖化武装をエイツによく見るようにとしつこく絡んだ。もちろん訓練も真面目に行う。
・シェヘラザード・・・ジャハラの占い師&ファルハーナの側近(?)。ルルイに負けじと、ファルハーナが気合を入れて着飾っていることをエイツに伝える。
協力者&その他
・ヤヤ・・・看護師を志すムッツリドジっ子。訓練の休憩場所として神社を提供し、さらにはその手伝いも行う。
・ヤヤ(鏡界)・・・鏡界からやってきたもう一人のヤヤ。仕事を手伝いつつも、バニースーツを身に纏いえっちなダンスでテーセツの兵士の士気を上げた。
・サユカ・・・エイガ忍衆の一人。
・ショーグン・・・テーセツの国王。
・マカロン・・・記憶喪失の食いしん坊少女。目的を知らないままエイツたちについてきた。おスシを楽しみにしている。
・レア・・・マカロンの礼儀正しい双子の姉。訓練には参加せず、マカロンに付き添う。
未登場
・ジェイムス・・・元ヒュームの国王。現在は移動城に匿われている。彼を連れ回すわけにはいかず、また彼がヒューム難民の多いリーニャから離れようとしなかったため、今回は移動城を使えなかった。
・ソフィア・・・エイツの幼馴染兼護衛。リーニャの実家で久々にのんびりしてもらいたいという心遣いと、ジェイムスや古文書漁りをするロセットの面倒を見てもらうには地元の彼女が適任であるという考えから、今回は不参加。英雄扱いされたくないという気持ちもあったかもしれない。
ストーリー
▼ネタバレ注意
エラストスが教官を務める地下組は、早速訓練を開始した。その内容は、地下迷宮にいるエラストスを探し出し、人質(ということになっている)のハンペンを救出すること。
ただし、あちこちに罠が張り巡らされており、引っ掛かってしまうと入口まで戻されてしまうとのこと。
イマイチイメージとは違う訓練内容ではあったが、とりあえずカルラたちは挑むことにした。だが、罠にハマりまくり、貴重な訓練初日はそのまま終了してしまう。
さらに二日目の昼までそんな調子であったため、ついにカルラたちはエラストスに不満を口にする。意味があるとはとても思えないし、自分たちは真剣にこの訓練に臨んでいるのだと語り始めたのだ。
不満を聞いたエラストスは一旦座学を行うと述べ、四角い物体をカルラたちの前に出現させ、地上組の様子をそれに映し出した。
地上組――ファンイーはシャーロットに頼み込み、『指揮官用』に聖化武装を改良してもらっていた。これは、指揮官の指示通りに集団を半ば強制的に動かすことができる上に、集団の力をほんの少しだけ増す効果をもたらす。さらに、聖化武装を着用している者の戦況を予測する力をも増大させる。
つまり、軍にとって必要な要素を高めることができるのだ。
それを証明するかのように、ファンイーは熾天聖であるナディラ、サンドラの動きを正確に予測し、その指揮に従った軍は彼女たちを撃破することに成功した。
そうした地上組の様子を映した映像は途切れ、エラストス(とハンペン)は地下組に話し始める。純粋な力だけが全てではないということを。しかし、その意図は地下組には伝わらなかったのだが――。
ただ一人、意図を察したタチアナは今日は撤退し、明日の最終日に備えて準備することを宣言する。訓練の意味が分かったと述べる彼女を信頼し、他のメンバーも撤退。明日に全てを懸けることにした。
地下から抜け出すと、タチアナはミザリーに『気配への感度』を上げるよう頼む。ファンイーがやったように聖化武装は新しい可能性を秘めており、エラストスは今後の戦いにそれが必要であると言いたかったのだと自分の考えを述べていく。
他のメンバーもそれに追随。自分に合った聖化武装のカタチを模索し、強化していった。
そして迎えた最終日。気配への感度が増したタチアナは罠を次々と破壊していき、破竹の勢いで地下迷宮を進んでいく。
しかし、罠を破壊すると発動するタイプの罠に引っかかってしまう。それは、大岩が転がってくるものであった。
それに対処したのはカルラであった。彼女は大岩を砕くと、事前にミザリーに頼んでおいた強化――『罠への耐久性』の向上により、入口へと飛ばされる罠を吹き飛ばしてみせた。
さらに迷宮を進むと、分かれ道が現れる。両方の道を進まないと罠が発動するため、カルラ、タチアナ、エイツ組と、罠を見破る力を持ったワカバを主軸とするミザリー、ミネルヴァ組に別れることに。順調に進んでいった。
そんな状況に冷や汗をかくエラストス。人に会いたくない性格の持ち主であるため、ここまで来てほしくはなかったのだ。
しかし、そのとき、エラストスは異変を察知する。魔物、悪魔、アニマでもない生物が姿を現したのだ。
一方、二手に別れていた地下組は合流していた。そこにエラストスが対処していた謎の生物の大群が現れる。あわや戦闘となるところだったが、エラストスが咄嗟に彼女たちの前にワープし、叩き切る。そして、謎の生物を根こそぎ討伐するために、訓練の中止を告げたのだった。
ミネルヴァを始めとする地下組はエラストスに協力すると言うが、彼女はこれをはっきりと拒否。人間が参加していい戦いではないと告げ、他の七煌に伝言を頼む。旧世界の怪物が護龍郭の地下に眠っていると..........。
地下から出ると、同じく訓練を終えた地上組と合流。エイツは、熾天聖として相手役を務めたナディラ、サンドラからファンイーの恐ろしさを聞く。
一方、カルラとタチアナは今回の訓練で友情が芽生えたようであった。
訓練が無事に終了し、各々がテーセツから離れ、国に帰っていく。エイツたちもコメット号に乗り込み、リーニャへ戻っていった。
その頃、地下迷宮に残っていたエラストスは、旧世界の怪物を全て討伐していた。その事実に安堵し、再び引きこもり始めたのだった。
個人的な印象
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直接戦場に出ない人に聖化武装を与えてなんか意味ある?と思ってたけど、今回の話でその有用性が良く分かった。下手すれば、単にパワーアップしてるだけの熾天聖よりも使い勝手がいいかもしれない。
しかし、旧世界の怪物ってなんだろう? 急に不穏な要素が出てきたなぁ..........。
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